準備するもの

初心者のためのゴルフクラブのシャフト選び

2021/04/26

初心者のためのゴルフクラブのシャフト選び
iStock.com/LightFieldStudios

ゴルフクラブには、シャフトと呼ばれるパーツがあります。 このシャフトによってクラブの振り心地が変わるのですが、クラブ購入時に最初から装着されている純正シャフトだとタイミングが取りにくい、もっと飛ばしたい、もっと方向性を良くしたいなどと考えた時に、「リシャフト」という方法を採ることがあります。これは、もとから装着されているシャフトを抜いて、単体で販売されているシャフトを別に購入して装着することを言います。 シャフトにはいろいろな種類があるため、ゴルフの初心者だとどんなシャフトを選べば良いのかわからないことがほとんどだと思います。そこでここでは、初心者のためのシャフト選びを指南しましょう。

そもそも、シャフトってどの部分?

ゴルフクラブのヘッドとグリップをつなぐ棒の部分をシャフトといいます。シャフトには大きく分けて2種類あります。金属素材でできている「スチールシャフト」と、炭素繊維でできている「カーボンシャフト」です。

ほとんどのドライバーやフェアウェイウッドには、カーボン製のシャフトが装着されています。軽くてしなる素材なので、それを利用して、ヘッドスピードを出して、ボールを遠くへ飛ばす役割があります。

ユーティリティ、ハイブリッドと呼ばれるクラブから、アイアン、ウェッジのシャフトは、「スチール」と「カーボン」の2種類をラインアップしているものが多くなります。また、以前はほとんどがスチールシャフトだったパターですが、最近ではパター用のカーボンシャフトも販売されるようになっています。

シャフトが異なると、硬さ(フレックス)、重さ、キックポイント(調子)、長さ、トルク(ねじれる度合い)などが変わってきます。

シャフトはまず、重さで選ぼう

iStock.com/L_Mirror
iStock.com/L_Mirror

現在市場で販売されているドライバーの場合、パワーのない人に向けた軽量モデルには40グラム台、一般的な体力の人向けのモデルには50グラム台、パワーのある人が使うモデルは60グラム台のシャフトが装着されたものが多くなっています。それぞれのモデルのターゲットによって、重さが異なっているのです。

シャフトの重さによって、振りやすさや安定感が変わります。自身の力よりも軽過ぎるシャフトだと、ヘッドスピードは出ますが、スイングが安定せず、ショットにバラつきが出ることが多いようです。

クラブを選ぶ時に、よく「振り切れる範囲で重いものを選ぼう」と言われますが、ドライバーでも同様です。自身のパワー以上に重たいシャフトを選ぶと、振りにくく感じますし、体力的にも18ホールすべてで振り切ることは難しいでしょう。

また、ゴルフクラブのセットを考える時は“重さの階段”が重要です。ドライバー、フェアウェイウッド、ユーティリティ、アイアン、と、クラブが短くなるにつれて徐々に重くなっていくのがセオリーです。なので、ドライバーを重くし過ぎると、その他のクラブも重くしないと、同じタイミングでスイングできなくなります。

重さの階段とは言え、軽量タイプのドライバーに120グラム以上の重過ぎるアイアンシャフトを組み合わせてしまうと、同じリズムで振れなくなり、ダフリやトップの原因にもなります。

一般的には、シャフトの重さを考える時は、クラブの総重量でドライバーが5番アイアンより100グラム程度軽くなるようにするといいとされています。5番アイアンが400グラムなら、ドライバーは300グラム前後になるようにするといいでしょう。

シャフトの硬さはどのように表記されているの?

シャフトを選ぶ時には、硬さもポイントになります。硬さはフレックスとも呼ばれ、一般的な表記としては、硬い順に、X(エクストラ)、S(スティッフ)、SR、R(レギュラー)、R2、A(アベレージ)、L(レディス)という表記がされています。SRはSとRの中間を意味していて、R2はRより柔らかいものを表現しています。

それぞれの硬さには、基準となるドライバーのヘッドスピード(ドライバーを振った時のスピード)が設定されていて、Xは46メートル/秒(m/s)以上、Sは43~46m/s、SRは40~43m/s、Rは37~40m/s、R2は35~38m/s、Aは32~36m/s、Lは32m/s以下という区分を目安に考えるといいでしょう。

AとLは女性向けのレディスクラブに装着されているシャフトの硬さの基準となります。男性用のモデルとしては、R2が一番柔らかいフレックスです。

ただし、このフレックスには統一された基準がありません。同じSでもブランドやメーカーが異なると、全然硬さが違うことが珍しくありません。なので、「自分はA社のクラブでSだったから、今度買い替えるB社のクラブでもSにしよう」と考えるのは危険です。めんどくさくても必ず試打して、自分に合っているか確認しましょう。

ちなみに前述のヘッドスピードの単位「メートル/秒(m/s)」は、物体が1秒間で何メートル移動するかを表しています。これを時速に換算すると、40m/sは144キロ/時。なんと、高速道路の自動車よりも速いスピードでクラブを振っているのです。すごいですね。

キックポイント(調子)とは?

iStock.com/epicurean
iStock.com/epicurean

続いて、キックポイント。シャフトにはどの部分が一番しなるのかを示すキックポイント(調子)というものがあります。写真のような「キック」のことではありません(笑)。

シャフトのヘッド側がしなるものを「先調子」、真ん中部分がしなる「中調子」、グリップ側がしなる「手元調子」に分かれています。ヘッド側とシャフト側の両側がしなる「ダブルキック」と呼ばれるものもあります。

一般的に先端がしなる「先調子」のシャフトは、ボールの打ち出しが高くなり球がつかまりやすい(スライスしにくい)とされています。その反対に「手元調子」のシャフトは打ち出しが低く球のつかまりも抑えられます。

初心者向けのモデルは、中から先がしなるものが多く、球を上げやすく、つかまりやすくする工夫がされているものが多くなっています。

ただし、だからと言って初心者向けが「先調子」、上級者向けが「元調子」というわけではありません。元調子は手元側がしなるため、タイミングが取りやすいという人もいます。

腕前でなくスイングタイプによってどの調子のシャフトが合うか変わってくるので、いろいろなタイプのシャフトを試打してみて、自身に合うタイプを見極めていくといいでしょう。

シャフトは長さも重要!

iStock.com/Zoran Kolundzija
iStock.com/Zoran Kolundzija

一般的なドライバーの長さは45~46インチくらいで、46インチ以上のモデルは長尺モデルと呼ばれます。クラブは長くなると、ヘッドスピードが上がり、飛距離が出るとされていますが、これはきちんとボールをとらえられた時の話。

フェース面のボールが当たる場所、いわゆる打点が安定しない初心者は、クラブが長くなると、より安定性に欠けてしまうため、ミスヒットが増えて、飛距離が出なくなることもあります。

ジャストミートの確率を高めたいと考えるのであれば、45インチ前後の長さのほうが安定して球をとらえることができるでしょう。

飛距離が伸びるからと言って、安易にシャフトを長くするのは危険なので注意しましょう。

最適なシャフト選びはフィッティングで!

同じゴルフ歴、同じ年齢、性別でも、その人の体型や身体の柔軟性、握力や背筋などの筋力、過去のスポーツ経験などで、合うシャフトも変わってきます。AさんとBさんに同じシャフトが合うとは限らないのです。

これはシャフトだけではなく、ヘッドについても言えることです。

そのような背景から、最近は各ショップでフィッティングに力を入れています。洋服を買う時に試着をするように、クラブも試してから購入したほうが、より自分に合うモデルを選べる可能性が高くなります。

ゴルフ5では、自社の試打結果をもとに、最新モデルのクラブ特性を分析しています。それらを踏まえた上で1人1人のゴルファーに最適なモデルを導き出してくれるフィッティングサービスを実施しています。

「ちゃんと当たらないのに、試打なんてできない。恥ずかしい」という人も多いのですが、実際にクラブを振ってデータを取ってみると、たとえ初心者でも、振りやすいクラブと振りにくいクラブ、ナイスショットが出やすいクラブと出にくいクラブがあるのです。

それぞれのゴルファーには前述のように様々な違いがあるので、フィッティングをすることで自身に合ったシャフトやクラブをチョイスできるようになるのです。クラブ購入時には試打をして、最適なシャフトを導き出すようにしましょう。

シャフトは交換できることを覚えておこう

クラブを購入した時に最初から装着されているシャフトは「メーカー純正シャフト」。シャフトにはこれ以外に、シャフトメーカーから販売されているものもあります。

最近では、最初から「カスタムシャフト」として、こういったシャフトメーカーのモデルをラインアップして購入できるモデルも増えてきており、そのようなクラブは「メーカーカスタム」と呼ばれます。

また、ゴルフ5などの大型店舗にも併設されていたり、街のゴルフショップなどにある「工房」と呼ばれる場所で、購入後のクラブのシャフトを交換(リシャフト)することもできます。

クラブを購入して、ある程度使ってから、自分のスイングに合わせてリシャフトするという人も少なくありません。新たにクラブを丸ごと購入するよりも、交換費用のほうが安く済むので、カスタマイズする人も多くいます。「ヘッドは気に入っているんだけど、シャフトがちょっと……」という人も、リシャフトによって問題を解決できます。

「カチャカチャヘッド」なら複数のシャフトを持つことも可能

最近のドライバーは、調整機能付き、いわゆる「カチャカチャ」と言われるものが付いたモデルが多くなっています。これは、シャフト部分とヘッド部分がレンチを利用して簡単に脱着、交換できるようになっているクラブのことを指します。

そのため、1種類のヘッドに対して、シャフトを数種類購入し、その日の天候や、行くコースに合わせて、シャフトを替える人もいます。あるいは、1種里のシャフトに対して複数の同じメーカーのヘッドを用意している人もいます。

ヘッドやシャフトを替えることで、振り心地だけでなく、打てる球筋、いわゆる弾道の高低や球の曲がり方が調整できるのです。上級者になってショット技術が高まってくると、そんな楽しみ方もできます。

ゴルフクラブ、シャフト選びは無限大。ゴルフは、ゴルフクラブを選んだり悩んだりすることも楽しみの1つになるのです。

  • #クラブ
  • #ゴルフクラブ
  • #選び方
  • #シャフト
  • HOME
  • 基礎知識
  • コースでのプレー時間はどのくらい?初ラウンドで緊張しないためのマニュアル